中高年になると常日頃からしっかり健康管理をしていく必要があります。
一般に我々は若い頃と違って年をとると病気に罹患する可能性が高くなります。その根本的な原因はいろいろありますが、主な理由は以下のとおりです。
- 体力、筋力が低下する
- 免疫力が低下する
- 病原体等に対する抵抗力が減退する
- 自然に内臓や脳神経系の機能が低下する
- 加齢に伴い動脈硬化が進行する
上に述べた変化はすべて老化(加齢に伴う自然な変化)ということもできますが、以下に中高年になった場合、特に気をつけなければならない(よく罹患してしまう)病気を列挙します。
- 生活習慣病:高血圧、糖尿病、脂質異常症(高脂血症)、肥満、メタボリックシンドローム、虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)、高尿酸血症、動脈硬化症、癌
- 悪性腫瘍(癌、悪性リンパ腫など)
- 脳血管障害
- 感染症(肺炎など)
- 心不全
- 認知症
- 骨粗しょう症
- 変形性関節症
- 白内障
- 前立腺肥大症
上に挙げた病気の中でも生活習慣病や脳血管障害は、進行を抑えたり発病を予防することができる内科系の疾患です。例えば、糖尿病だと過食や運動不足を避け肥満にならないよう注意して生活していけば、発症を抑えられることが多く、仮に糖尿病を発症してもきちんと食事や運動、生活の管理、治療をすることで悪化を阻止することができます。
虚血性心疾患や脳血管障害などは血圧の管理がとても重要です。血圧が高いほど発症しやすい問題なので、常日頃から降圧療法を受けて血圧をコントロールしておく必要があります。
高血圧はほとんどのケースで顕著な症状は出ませんが、血圧が高いまま放置すると心肥大となり心不全につながることもありますし、十数年も放置すると腎硬化症という慢性腎不全をおこす病気になることもあります。実際、高血圧を甘くみて何の治療も受けないまま放置し、「体調がすごく悪い」と気づいた時には既に透析が必要なほど腎機能が低下していた症例も数多く経験しました。
さらに、中高年になると尿酸値が高い(高尿酸血症)方が増えてきますが、治療を受けずに放置して痛風(尿酸が結晶化し、足の指周辺などの組織に炎症を引き起こす病気で激痛に陥る)となり何日も苦痛に悩まされる方もいます。
つまり、中高年においては重篤な疾患に陥る前に適切な健康管理、栄養管理、治療を行い大事に至らないよう生活していく必要があります。その事は拙著「老い楽のすゝめ」(文芸社刊)に詳しく書いていますので、お時間が許すようならご一読ください。
結局、「予防に勝る薬(治療)はない」と思うので、重篤な疾患に陥ったり寝たきりにならないように努め、後期高齢者になっても自立していて元気で楽しく過ごせるようにしたいですね。当院では「老い楽」(歳をとってもハッピーに暮らせる)に過ごせるよう健康上の適切なアドバイスを行い、必要な治療を実施し、それぞれの患者さんの状況に見合った健康管理、栄養管理をさせて頂くようにしております。