当院ではあらゆる腎疾患の診療を行っています。
腎臓は背中側のやや下方にある臓器で左右一つずつあります(右図)。長径は約10cm前後で比較的薄い小さな臓器ですが、24時間血液をろ過し尿を生成するという重要な役割を担っています。その主な機能を以下に列挙します。
- 尿の量を調節して体の水分バランスを保つ
- 尿毒素などの老廃物を捨てる
- 血液中のナトリウムやカリウム、カルシウム、リン、塩素などの電解質の濃度を調節しバランスを維持する
- 酸性、アルカリ性物質のバランスを保ち血液の pH(酸性/アルカリ性)を適正に保つ
- 血圧の調節をする
- 赤血球の造血を促す造血ホルモン(エリスロポエチン)を産生する
- ビタミン D を活性化する
こうした働きは一見地味に思えますが、NHKスペシャル「人体」という番組の第1回(2017年10月1日)で腎臓が取り上げられたときには、「腎臓の本当の役割は尿を作ることではなく、厳密に血液成分を適正に維持する『血液の管理者』だ」と捉えていました。そして、「今、体にどんな成分がどれだけ必要なのか、尿から必要な物質、成分を再吸収する際、腎臓は様々な臓器から情報を受け取り、血液成分を絶妙にコントロールしているのだ。腎臓は、まさに『人体ネットワーク』の要であり『かげのスーパースター』」とさえ呼んでいました。だからこそ、腎臓の異常が全身の他の臓器にも悪影響をもたらし、逆に他の臓器で異常が起きると、その影響が腎臓に及びやすいことを番組で伝えていました。
つまり、腎臓は人体の恒常性(ホメオスターシス)を維持し、人体ネットワークを円滑に調整するとても重要な臓器なのです。おまけに、腎臓は他の臓器(脳や神経、心臓等)や筋肉と比べても加齢に伴い機能が低下し易いことがよく知られています。つまり、若い時もさることながら中高年になればなおのこと、機能が極端に低下したり破綻しないよう注意を払うべき臓器だと言えます。
実際、わが国が高齢化社会ということもあって、慢性腎臓病は少しずつ増加し1,300万人以上つまり成人の8人に1人が慢性腎臓病に陥っていると考えられています。また、慢性腎臓病は虚血性心疾患や心不全などの心疾患や脳血管疾患のリスク(危険因子)であるため、腎疾患を早めに見つけて適切な治療を行い、その進行を抑える必要があります。
それでは、腎臓内科が関わる疾患としてどのようなものがあるのでしょうか。
- 蛋白尿が認められる疾患
⇒ 急性腎炎、慢性腎炎、ネフローゼ症候群、糖尿病性腎症、急性間質性腎炎、膠原病に伴う腎炎 - 血尿が認められる疾患
⇒ IgA腎症(わが国で最も多い慢性腎炎)、腎細胞癌、腎盂癌、尿管癌、膀胱癌、尿路結石症、尿路感染症、腎や周辺部の血管走行異常、遺伝性血尿 - 腎臓の血管に関連する疾患
⇒ 腎梗塞、腎静脈血栓症、腎血管性高血圧 - 遺伝性(先天性)疾患
⇒ 多発性のう胞腎、アルポート症候群、先天性腎・尿路奇形 - 腎機能が低下した病態
⇒ 急性腎不全、慢性腎不全(慢性腎臓病) - 水・電解質異常:脱水症、浮腫、血清ナトリウムや血清カリウムなどの濃度異常
- 高血圧と関連する疾患
⇒ 腎硬化症、腎性高血圧症、悪性高血圧症 - 代謝異常に伴う二次性の腎疾患
⇒ 糖尿病性腎症、痛風腎(高尿酸血症)
以上、腎臓内科が関わる疾患が数多くあることはご理解頂けたでしょうか。高血圧も含めると腎臓内科はとても幅広い領域を扱っていることになります。
とにかく、蛋白尿、血尿、高血圧、腎機能低下、水・電解質異常、浮腫、乏尿を認めたら、当院にいち早くご相談ください。適切な検査、検討を行って病態を判断し、必要な治療を開始します。
セカンドオピニオン
当院では腎疾患のセカンドオピニオンを受付けております。
セカンドオピニオンとは、患者さんが医療機関で受けている診断や診療内容、診療方針について、担当医以外の別な立場の医師に意見を求めることをいいます。違う医師の意見を聞くことで、自分がそれまでに受けていた診断や病態説明、あるいは治療方針が適切であるかどうかを判断したり、他の考え方がないかどうかを吟味したりすることができます。
セカンドオピニオンを求める場合、問題となっている疾患(通常は重篤な疾患や難しい手術が必要な疾患など)の担当医に申し出て診療情報提供書や検査データ、画像データをいただく必要があります。セカンドオピニオンのシステムは既に定着しており、患者さんがその必要性を感じた場合、現在の担当医に遠慮なく申し出ていいと思います。もちろん、セカンドオピニオンを依頼する場合、その領域に関し十分な臨床経験と見識を有している医師にお願いします。なお、セカンドオピニオンは自由診療でありいわゆる医療保険はききません。30分とか1時間単位で依頼した医師と面接して意見を聞き、その対価を支払います。
当院で腎疾患(泌尿器科疾患を除く)のセカンドオピニオンを受ける手順
- 当院へセカンドオピニオンを希望する旨の電話をしてください。予約枠が空いている日時に30分間の予約を取ります(1時間の面接を希望される場合はお申し出ください)。
- 現在の診療担当医にセカンドオピニオンの希望を申し出て、診療情報提供書の作成や必要データの供出を依頼してください
(でき上がるまで1週間ぐらいの日数が必要なこともありますので、余裕をもってセカンドオピニオンの日程を決めましょう)。 - センドオピニオンを受ける日には、担当医から受取った診療情報提供書などを当院までご持参ください。当日のお支払いは現金またはクレジットカードでお願いします。当院におけるセカンドオピニオンの費用は30分で¥12,000(税抜き)です。